私の造形と石ころアート
- 海岸線に垂れ下がるように枝を這わせていた波打ち際の倒れた大木。 < 89年冬、マウイ島 >
竹林に絡まって幾可学模様を作り出していた蔓(つる)。 < 93年夏、京都 >
砂漠のうねりの上で浮かび上って踊っていたバオバブ。 < 99年春、セネガル >
長遠な時を重ね、風や水や大地に鍛えられながら生まれてくる自然のアート。
それらのひとつひとつが持つ固有のかたちは、私たち人間の感性をゆさぶらずにはおかない。
- この偉大なる地球からの贈り物の中でも、海岸や川べり路上などにころがっている石ころは、いつも私の心を豊かにしてくれる。
それは、ひとつひとつが個性的で、ゴロゴロと転がる様が、何故か、踏ん張っていて陽気であり愉快であるからだ。
そんな石たちを見ていると、石と自分の関係を見つけてみたくなってしまう。
色々な国で見つけた、ユニークで美しい石ころを組み合わせたり、
ガラスや金属など人工の素材をつかって石ころのオブジェにしたり。
あれこれと石と対話しながらの造形作業は、自然の中で育まれた石ころたちの美しさが、
彼らの本籍地を離れた私の部屋の中で、一層固有の輝きを増すことに気づかせてくれる。
そして、造形が進めば進むほど、石ころは、やはり石ころであることに驚く。
- 造形という私の行為を、マウイ島や京都で見た自然のアートに近づけられるだろうか・・・。
やや不安を覚えながらも、自身も同じ地球から生まれた自然のひとつなんだと意を強くして、石ころと向きあっている。
自然の美しさを表現するむずかしさに悩み、自然の美しさに感動できる人間であることに感謝しつつ。