※ 以下 設計図 を基に解説します。
基礎石、沓石、柱等、色々な表現をしていますが、(基礎石の中心 = 沓石の中心 = 柱の中心)です。
建物とデッキの間隔を決めて、デッキの建物側2本の柱位置(a,k)に印を付けます。
建物と反対側の柱位置(e,o)は、デッキ外周四隅の「対角線の長さ」(c=√a×a+b×b)を求めておき、建物側の2点(a,k)を基準にして、「対角線と側面の長さ」を測り決めます。
この外周四隅の柱位置に水糸を張り、外周上の他の柱位置(b,c,d,j,f,l,m,n)を決めます。
これまでに決めた柱位置に水糸を張ると、交差している点が全ての柱位置です。
柱の位置決めには、木杭と釘と水糸を使いましたが、その手順は、大体正確な位置に木杭を打ちその木杭に釘を半分位打ったら釘に水糸を巻き付けます。
木杭の傾きを調整しながら設計図通りの寸法になる様に正確に合わせます。
誤差は作業を進めるうちに累積しますから、最初のうちは最小に止める努力をします。
水糸の交差点の寸法をチェックして設計図通りならば、沓石の埋設です。
水糸の交差点に沓石を垂直に埋設するために、石の中心から側面までの寸法をオフセットして水糸を「水平に」張り、その水糸と沓石の上面が平行になるように埋設しました。
(水糸と沓石上面を平行にする事により沓石が垂直になる。) 基礎石埋設図
この方法は、オフセットして水糸を張り直す分だけ余計に手間が掛かるので、円形の水準器を使った方が楽に出来たと思います。
その手順は、水糸の交差点の直下に目印を付けたら水糸を一旦外し穴を掘り、石を入れて高さを大体揃えたら、再び水糸を張り円形水準器で水平をとりながら位置を合わせます。 参考図
沓石の前後左右の位置を正確に合わせる事と「垂直」に埋める事です。
沓石が垂直でないと柱が斜めになり、柱を立てた時に無理矢理垂直にしようとすると今度は位置がずれます。
この「位置のずれが思っているより大きい」からです。
「沓石の水平位置」と「沓石の垂直」はセットで考えます。
沓石の高さ(穴の深さ)の不揃いは柱の長さで調整出来ますから、多少の誤差が有っても大丈夫です。
高さを揃えるためには、重い沓石を穴に出し入れしなければならず、その度に水平位置と垂直も合わせなければならないので、重労働で作業が雑になりがちです。
実際に柱を立ててから、柱の寸法で調整する方が簡単で確実です。
位置や高さの調整には、穴の中に「多少湿った砂」を入れると作業がはかどります。
建物側の2ヶ所の柱(a,j)は、コンクリートのたたきをそのまま利用したので、沓石は置いてありませんが、たたきの傾斜に合わせて柱を切ってあります。
この作業が一番大変ですが、最も重要です。
13個の沓石を埋設するのに丸一日(朝6時から夕方6時まで)かかりました。
後々の作業をスムーズに行うためにも、あせらず正確に寸法を合わせて埋設します。
この沓石は埋めるのが正解でしょうか?
置くだけでもいい様にも思いますが、埋める事でデッキ自体がしっかりした感じがします。
デッキが出来てからでは埋める事は出来ませんから、地盤が土であったり床をある程度高くする場合等は埋めておいた方がいいかも知れません。
地盤が軟弱な場合は、穴の底を砕石或はモルタルで固めたり、基礎石の周りをモルタル等で根巻きしたりしても良いと思いますが、私の場合は、穴の中を大体平らに打ち固めておいてから砂で調整しただけですが問題なしです。
芝生の場合、穴を掘ろうと思っても簡単には掘れません。
深い穴を掘る訳ではないので、園芸用の片手で使う小さいシャベルで十分だと思っていましたが、芝生の根が切れず無理でした。
ボルトを使用する場合は穴あけ等の作業がありますから、コーススレッド・タッピング等を使用した方が余計な作業がない分だけ楽です。
「ウッドデッキ・第二弾」では、ボルトは使用しないでタッピングを使用しましたが、下穴はあけました。
側板、梁は設計図通りに穴をあければ良いとして、柱の穴あけ位置や長さを決めるのに、ここから先は「現場で寸法をとりながらの作業」になります。
要点は、
①側板・梁A,Bは設計図の寸法で切り、穴あけしておく。
②柱と側板・梁を仮組み・組む時は、それぞれの部材どうしの直角・平行・垂直・水平を確認する。
私の作業手順は次の通りです。
現時点で沓石は配置されていますが高さが不揃いなので、柱の長さは1本1本違ってきます。
最初はデッキ四隅の柱(a,k,e,o)のうち、建物側2本の柱(a,k)を基準にします。
2本の柱(a,k)に側板後・梁Bを仮組みして、直角(柱と側板・梁)・平行(柱と柱)・垂直(柱)・水平(側板・梁)を調整したら、側板後・梁Bにあけた穴の位置に合わせて柱に印を付け、設計図を基に柱の長さを決定します。
仮組みには釘・クランプ等を使いますが、分解する時の事を考えて、釘は完全に打ち込まずに適当なところで止めます。
一度分解し、柱に付けた印位置で切り・穴あけしたら、直角・平行・垂直・水平を調整し2本の柱(a,k)に側板後・梁Bを固定します。
ここで、1本の柱に数ヶ所穴あけする必要がある場合、どこか1ヶ所の穴の位置が決まれば他の穴の位置も決まりますので、一度に穴あけしておきます。
同様の作業を繰り返し、四隅の柱( a,k,e,o )に側板左・右・前と梁Bを固定します。
作業による誤差の他にも木材の曲がり反り捩れによる誤差もありますので、厳密に設計図通りの寸法にはなりません。
多少の寸法の誤差よりも、ここではデッキ外枠全体の直角・平行・垂直・水平が重要です。
設計図の寸法と実寸を比較しながら調整し組みます。
外枠完成までが仮組み・調整・分解の繰り返しで大変な作業になりますが、ここから先はデッキもそれらしい形になってきますので楽しく割と楽な作業になります。
次に外枠四隅の柱に水糸を張り、中間の通し柱( c,f,l,m )の長さを決定したら同様の作業を繰り返し、側板に固定します。
前後の梁B,B間に水糸を張り、柱( b,d,g,h,i,j,n )と梁Aの高さを揃えて寸法・穴あけ位置を決めたら取り付けてデッキ枠の完成です。
柱に梁(A,B)を取り付ける位置は、側板より床板の厚み分 38mm 下がった位置 で横から見ると、梁(A,B)は側板より床板の厚み分(38mm)下にずれます。
床下までの柱(b,d,g,h,i,j,n)の高さは、梁の上端から柱がとび出さないように気持ち「短め」に切らないと、柱がとび出し床板が浮いてしまい上手く付きません。 参考図
デッキを構成する部材(柱・側板)間の直角・平行と部材(柱・側板)単体の垂直・水平を、水準器や下げ振りなどを使いチェックします。
厳密に考えると此処で作業が止まってしまいますので、自分が妥協出来る範囲内ならOKとしますが、時に妥協するかしないかで迷うことがあります。
迷った時、私は完成後に後悔しない様、面倒くさいですがやり直す事にしています。
「遠目に建物との位置関係(垂直・水平)」なども参考にしながら、異状がなければデッキ外枠の完成です。
色々な場面で、疲れたら一服しながらついでにチェックします。
私は11mm径のボルトに対し13mmの穴をあけましたが、ポイントは木材に対し直角に穴をあけることです。
穴とボルト径にもよりますが、2〜3mm位ならずれても叩けば入りますが、それ以上ずれるとボルトが入らないということもあります。
角材や厚みのある板に直角に穴をあける時、ボール盤でもあれば完璧ですが持っているはずもなく 専用の工具 程度の物は必要で勘ではなかなかきびしいです。
専用の工具とはいっても「勘に頼るよりはまし」という程度のものです。
穴をあける時は、木材の裏に当て木をすると穴の周りがささくれずにきれいにあける事が出来ます。
そもそもタッピングやコーススレッドを使用すれば、専用の工具も余計な穴あけ作業も必要無い事ですが、タッピングやコーススレッドは見た目が細く、90mmの角材に38mm厚の2×4材を取り付けるのは何となく不安だった、というのがボルトを使った理由です。
デッキ上には色々と物が置いてあったり、パーゴラを付け足したり、後付の物もあり総重量は増加していますので、手間は掛かりましたが良かったのかも知れません。
手摺下の×字はデッキらしい雰囲気作りにも一役買っていますが、筋交の役目もあり全体が強固になったと思います。
この部分の相欠の加工は電動工具では出来ないので、ノコとノミを使った作業になり、寸法は現場合わせですから設計図も何もありません。
クロスさせたい柱間で、柱の外側でも内側でもいいので、木材を柱に斜めにあて採寸しますが、下は床板厚分として 38mm 上げて印を付けるので、切れ端等を置いておき 参考写真 ×字ですから交互に2本作ります。
今切った2本の木材を、柱の間に仮組みして、交差する部分に印を付けてから、切り込みを入れます。
この仮組みと印の付け方が、相欠が上手くいくかどうかの分かれ道で、仮組みする時に×字に交差する2本の木材上面の交差点に定規をあて、定規と木材上面が一直線になる様に木材の向きを調整して印をつけます。
切り込みの深さは木材の幅の半分です。 参考図
線の右側を切るか左側を切るかでうまくかみ合わなかったりします。
かみ合わせがきついと切り込みを広げるのに苦労しますし、無理に入れようとすると木が割れます。
好みによってはクロスさせる木材の向きを90度回転して縦にすれば相欠は必用ありません。
ここでは床板を隙間無く敷いたので、寸法を合わせて切ったら全て外枠にはめ込みます。
最後の板が入らない場合は、板を斜に合わせておいて上から踏めば簡単に入りますが(右写真)、肉を挟むと大怪我しますので素足では絶対に踏まない事。
床下の梁の位置に合わせて水糸を張り、下穴をあけたらタッピングで止めます。
見る見るうちにデッキが出来上がってゆきます。
使用するネジ類の素材ですが、メッキと比べて高価ですが、ステンレスを使います。
ネジ類(タッピング、コーススレッド等)は錆びてしまうと厄介で、以後のメンテナンスを考えると素材は絶対にステンレスです。
デッキ部分のおおまかな作業手順は次の通りです。
1、基礎石の設置
2、デッキ枠の作製
3、クロス部分の作製・取付
4、手摺の取付
5、床板の取付
遠目に異常ないか、作業の途中でまめにチェックします。
建物を利用したチェックも有効です。
ここまで、大体4日間の作業です。